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老後の暮らしも考えた最適な階段の幅・高さとは
2021.02.10
コラム
高齢になって足腰が衰えてきた時、つらく感じるようになるのが階段の上り下りです。急な階段や狭い階段では、上るだけで息が上がってしまったり、転げ落ちたりしかねません。どのような構造の階段なら、老後でも安心して生活できるのでしょうか。ここでは、老後の暮らしも考えた最適な階段の幅や高さについて解説します。
【目次】
1.最低限の基準を守っているだけの階段は使いにくい
2.高齢者でも使いやすい階段の寸法
3.階段の形状や手すりなどにも注目
4.今回のまとめ
最低限の基準を守っているだけの階段は使いにくい
最初に、階段の寸法に関する法規制を知っておきましょう。階段のうち、足を乗せる部分を踏面(ふみづら)、つま先が当たる部分を蹴込(けこみ)、一段の高さを蹴上(けあげ)といいます。建築基準法では、一般住宅におけるこれらの部分の寸法を定めており、踏面の奥行きは15cm以上、蹴上の高さは23cm以下です。また、階段と踊り場の幅は75cm以上と定めています。これらの基準を守っていれば、少なくとも法律上は問題がないわけです。しかし、数字を見て想像がつく通り、すべて最低限の基準で作ると、非常に狭く高い階段になります。さらに、角度も約57°とかなり急です。少なくとも高齢者が上り下りするには不適切ですから、老後のことを考えるなら、もう少し使いやすい階段にしなければなりません。
高齢者でも使いやすい階段の寸法
高齢者でも上り下りしやすい階段を作るためには、踏面や蹴上をどのくらいの寸法にすればいいのでしょうか。国土交通省の資料では、踏面の奥行きが30cm以上、蹴上の高さが16cm以下であれば、バリアフリーに配慮した階段になるとされています。上り下りしやすい角度は35°程度ですが、上記の寸法で設計すれば、自然とちょうどいい角度になるでしょう。また、踏面と蹴上のバランスも大切です。一般的には、蹴上×2+踏面が60cm(日本人の歩幅)になるのが適切とされています。蹴上15cm、踏面30cmならちょうど60cmになりますから、とても歩きやすい階段です。60cmより小さいと小刻みになりすぎ、逆に大きいと一段が広くなりすぎるので、ただ低く広くすればいいわけではありません。そして、階段の幅にも注目してください。建築基準法で定める75cmという幅は、人間の肩幅よりやや大きい程度で、少々狭く感じます。高齢者が階段で家族とすれ違ったり介助したりする時のことを考えると、1m程度の幅にしておくのがおすすめです。
階段の形状や手すりなどにも注目
階段作りでは、幅や高さと並んで配慮しておきたいポイントがあります。それは、階段の形状です。たとえば、踊り場のない直階段であれば、途中で足を滑らせた時に一気に下まで落ちてしまいかねません。設置面積に余裕があるなら、踊り場のあるかね折れ階段(L字)や折り返し階段(U字)にするのがおすすめです。直階段にせざるをえないのであれば、より勾配を緩やかにするのが望ましいでしょう。その他、途中に切れ目がなくちょうどいい高さの手すりを設置する、踏面に滑り止め部材を使用する、フットライトを設置して足元を見やすくするなど、安全な階段を作るためのポイントはたくさんあります。幅や高さだけでなく、いろいろな部分に目を向けてみてください。
今回のまとめ
マイホームを建てる時は、その時点での希望や使い勝手を優先してしまいがちです。しかし、長く生活することになる家ですから、老後のことも考えておかなければなりません。階段は高齢者が不安を感じる代表的な部分なので、設計段階でしっかりバリアフリー化しておきましょう。
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