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家づくりの工法でよく聞く「梁勝ち」「柱勝ち」とは
2021.08.20
コラム
家は多くの柱や梁を組み合わせて作られています。これらの素材や太さ、位置、つなぎ方などによって家の耐久力や間取りが左右されるため、設計は綿密に行わなければなりません。そして、設計の際に重要になるのが、「柱勝ち(はしらがち)」にするのか「梁勝ち(はりがち)」にするのかです。ここでは、梁勝ちと柱勝ちの違いについて解説します。
【目次】
1.柱勝ちと梁勝ちの違いは「柱と梁のどちらを優先的に通すか」
2.梁勝ちは地震に強く、間取りの自由度も高い
3.梁勝ちは価格の高さと熱橋に注意
4.今回のまとめ
柱勝ちと梁勝ちの違いは「柱と梁のどちらを優先的に通すか」
柱勝ちと梁勝ちの違いは、柱と梁が交差する接合部分において、どちらを途切れさせず優先的に通しているのかです。途切れさせた方(負け側)は、途切れさせずに通した方(勝ち側)に接続されます。
つまり、柱勝ちは柱を優先して通す構造、梁勝ちは梁を優先して通す構造というわけです。建物は多くの柱と梁を組み合わせて作られていますから、柱勝ちにするのか梁勝ちにするのかによって、耐久力が大きく左右されます。デザインにも影響を与えるため、どちらを採用するのかは十分に検討されなければなりません。ちなみに、鉄筋コンクリート造や鉄骨造では、柱勝ちを採用するケースが目立ちます。
梁勝ちは地震に強く、間取りの自由度も高い
柱勝ちと梁勝ちのどちらがいいのかは状況によりますが、総合的に見ると梁勝ちのメリットが目立つ傾向にあります。梁勝ちの大きなメリットは、横向きの梁が途切れずに通っているために、地震の横揺れ(水平力)に対して非常に強いことです。柱勝ちは地震の横揺れが加わった際、接続部分が折れてしまうリスクが高くなります。昔の家は重要な場所に太い柱を使っていたため、柱勝ちにしても簡単には折れませんでした。
しかし、最近の家は太い柱を使うことが減っています。細い柱だと、穴を開ける接続部分はさらに細くなってしまうので、どうしても地震に弱くなるのです。耐震性能の高い家を作りたければ梁勝ちを採用するか、柱勝ちでも接続部に工夫をするのが望ましいでしょう。
また、梁勝ちには家を上下に貫く「通し柱」がないため、各階の柱の位置にある程度融通が利き、間取りの自由度が高いというメリットもあります。将来のリフォームや間取り変更にも対応しやすいので、間取りの自由度を求める方にも梁勝ちが向いているでしょう。
梁勝ちは価格の高さと熱橋に注意
梁勝ちにはメリットが多い一方、デメリットもあります。無視できないのは、柱勝ちに比べて値段が高くなりやすいことです。家のデザインにもよりますが、梁勝ちの木造住宅を建てた場合、一般的な木造住宅と鉄骨住宅の中間程度の価格になります。梁勝ちの家を作るなら、資金計画はしっかりと立てておきましょう。
また、もう1つ注意が必要なのが熱橋(ヒートブリッジ)という現象です。梁勝ちは柱と梁の接続部分に金物を使用しますが、金属は熱を伝えやすいので、そこを伝って外部の熱や冷気が入ってきやすくなります。そのため何も対策をしないと、夏は暑く冬は寒く、結露が発生しやすい家になってしまうのです。これは断熱材を正しく施工すれば防げるので、業者と十分に打ち合わせることをおすすめします。
今回のまとめ
柱勝ち・梁勝ちは、家の耐久力や間取りに影響する大切な要素です。これらの言葉の意味を知っておくだけでも、施工業者との打ち合わせがやりやすくなり、より理想的な家をデザインできるでしょう。家づくりの計画を立てる時は、柱勝ちにするのか梁勝ちにするのかをじっくり検討してみてください
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